第6回田川EMCフォーラム
田川EMCフォーラムは、地域で円滑な救急医療の推進と地域完結型医療の実践のため、救急隊と地域の医療機関とで定期的に症例検討や田川地区における救急諸問題を話し合う場として田川地区公的病院会が開催しています。
6回目となるフォーラムが平成30年6月12日に当院で開催され、田川や飯塚などの消防本部(25人)、田川地区の医療機関から医師や看護師、コメディカルなど総勢120人が参加されました。
■プログラム 【症例報告・レクチャー】 座長 田川市立病院 救急科 部長 田中 潤一 田川市立病院 消化器内科 医員 大藏 裕子 1 「急変対応シートを用いたフィードバックの症例報告」 田川市立病院 2階東病棟 主任看護師 日本救急医学会認定ICLSインストラクター 七呂 清隆 2 「救急救命士の処置拡大2行為の現状と今後の課題について」 田川地区消防本部 本署救急隊小隊長 中島 貴秋 3 「突然の胸痛を発症し119番通報した患者の症例を通して考える 田川地区の救急医療」 田川地区消防本部 本署救急隊主任主任 藤嶋 一裕 4 「当院救急外来での1症例」 社会保険田川病院 循環器内科 医長 山路 和伯 5 「酸素投与について」 田川市立病院 救急科 部長 田中 潤一 |
本フォーラムでは、当院の医師と看護師も発表しましたので、一部をご紹介します。
1 「急変対応シートを用いたフィードバックの症例報告」
田川市立病院 2階東病棟 主任看護師
日本救急医学会認定ICLSインストラクター 七呂 清隆
七呂看護師は、急変対応シートを用いたフィードバックの症例報告を行いました。急変対応シートを使用して、各部署でデブリーフィング(GASmethodに沿った振り返り)を行い、その後院内全体で症例検討し、今後の教育体制につなげていることを発表しました。
症例の検討をしていく中で、その場に急変対応に慣れたスタッフがいることも重要とし、今後ICLSプロバイダーを中心にスタッフへの教育体制を整えたいと話されました。さらに、他の症例でいかされているか、また改善点を検証していくとのことでした。
座長を務めた田中医師は、このような取組は、全国的にもめずらしく、広めてもらいたいと話されました。
※デブリーフィング:振り返りと議論を行う機会
5 「酸素投与について」 田川市立病院 救急科 部長 田中 潤一
酸素投与について救急科の田中医師がレクチャーしました。主に看護師さん向けのレクチャーで、酸素投与による有害事象の報告が多々あることを紹介しました。また、鼻カニューレの酸素値や酸素マスクの酸素値など具体的な数字で示しました。
また、呼吸不全についてや酸素乖離曲線、人工呼吸管理中のPaO2やSaO2の目標値についても取り上げられました。
救急隊の方から、酸素投与についての質問があり、アンケートでも看護師などから「勉強になった」「認識が変わった」という声が多数ありました。
【フォーラムの感想】 ※アンケートの一部をご紹介します
●救急隊の方がどう考えているのかなどを聞けて大変参考になりました。(医師)
●田川地区での体制、プレホスピタルの現場、病院受け入れ後の対応などの情報、問題点を多職種で共有できて、大変有意義でした。(医師)
●消防本部からの率直な意見・問題点が聞けて良かったと思います。患者受入窓口を医師に統一するなど考慮してみたいと思います。(医師)
●救急隊からの情報提供を統一シートで行うことにより、時間短縮や正しい情報の共有ができると感じました。(看護師)
●あまり救急を受け入れることはない施設ですが、業務の中で生かせることがたくさんあり、生かしていければと思いました。(看護師)
●日頃救急に携わることは少ないのですが、救急車要請や病院への搬送で関わっていますので、今後もぜひ参加していきたいと思います。(看護師)
●地域完結型医療を目指すうえで、有意義な意見交流ができたと思います。(その他の職種)
●症例報告など自分の活動に生かせる内容でした。すごく有意義な内容でした。今後も参加させてもらいたいと思います。(消防本部)
●医療側、消防側の立場と考えと現状が分かり、顔の見える関係の構築ができるフォーラムであり、今後も継続すべきであると思いました。どの医療スタッフも地域完結を目指しがんばっていることがわかりました。救急隊員がすべて参加できるようなフォーラムにしたいです。(消防本部)
田川EMCフォーラムは、医療機関と救急隊が救急について問題を提起し、率直に討論できる貴重な場となっており、田川地区の9医療機関と田川地区消防本部、飯塚地区消防本部、直方地区消防本部、直方・鞍手広域消防本部が参加されていました。田川地域の医療完結化に向けて活発に意見が交わされました。