【地域包括ケアシステムについて】 地域包括ケアシステムとは、「要介護者が介護施設に入所して集団的ケアを受けるのではなく、本人の住まいに外部から医療や介護サービスを定期的に提供する仕組み」のことである。すなわち、「ニーズに応じて住宅が提供されることを基本とした上で生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場で適切に提供されるような地域での体制」を指している。 【高齢者健康コミュニティについて】 「高齢者健康コミュニティ」とは「生活支援・健康支援・介護・医療サービスを提供する複合施設と自立型、支援型、介護型高齢者住宅及び高齢者自宅をネットワークで結び、地域包括ケアシステムの機能を満たすコミュニティ」である。 【地域包括ケアの構築に向けて】 地域包括ケアシステムを包括した「高齢者健康コミュニティ」を構築していく上で、現状では次の6点が大きな課題になる。 <課題> ①施設ケア⇒在宅ケア 施設ケア中心の方針から在宅ケア中心の方針へ高齢者ケアのパラダイムを転換していかなければならないことを、国民全体で認識する必要がある。 ②自立型住まい、支援型住まい 自立を支援できる高齢者住宅を構築していかなければならない。 ③24時間巡回型訪問介護・看護サービス 24時間の夜間対応訪問介護事業は、始まっているものの機能しているとは言えない。 ④在宅医療と介護の連携 在宅医療については、医療機関と訪問看護ステーションとの連携が鍵であり、その連携方法、医師と看護師の役割分担についても研究していく必要がある。 ⑤自助、互助の支援の構築 自立している高齢者が助け合える場所をつくることが必要であり、自由に活用できる地域交流センターのような場所を増やしていくべきである。また、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者を相互で助け合うためのボランティア制度普及についても研究していく必要もある。 ⑥高齢者介護を担う人材の待遇等の改善 介護分野で働く人材が、介護技術とともに、マネジメント、マーケティングの知識を持つことにより、介護の仕事をプロ意識の強いものにすることができるとともに、生産性や質を向上していけるものと考える。
<解決のための手段> 「ネットワーク型高齢者健康コミュニティ」を3段階で構築するモデルを示す。
第1段階 高齢者住宅を核とした医療・介護サービスの複合拠点となる在宅支援複合施設を作る。 第2段階 在宅支援複合施設を中心に地域住民が自由に訪問できるような交流拠点を構築し、高齢者支援のネットワーク(互助組織)を展開する。 第3段階 高齢者の経済力やADLに応じたニーズに合わせた様々な種類の住宅を作り、それらを軸に24時間巡回型訪問サービスを機能させていく。
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