病気を治療する上で早期発見、早期治療が望ましいことは言うまでもありません。
さらにもっといいことは、病気にかからないことです。
早期発見あるいは予防のためには病気のことをよく知ることが大切です。
田川地域のみなさんに病気や健康について知って欲しい、そんな気持ちから、この地域住民講演会を始めました。
第1回 地域住民講演会 【平成29年6月24日(土)】
この講演会では、健康・病気・医療分野から日々の生活で必ず役に立つテーマを取り上げます。
第1回目は、「あなたのそれ、減塩ですか?」をテーマに、腎臓内科 吉田医師や管理栄養士がそれぞれ講演を行いました。また、看護師による、味覚チェックも行いました。
講師がそれぞれ講演内容をご紹介します。
■「減塩はじめの一歩」 腎臓内科医師 吉田 健
塩はヒトにとって必要不可欠なものですが、過剰に摂取することで、様々な健康問題を引き起こすことが知られています。1日塩分摂取量の目標は、一般に、健康な成人男性で8g未満、女性で7g未満、高血圧の方は6g未満です。しかし、日本人の平均摂取量は約10gで、どの年齢層でも目標に到達していないのが現状です。塩分の過剰摂取は、高血圧や心血管病のリスクになり、減塩することで、これらのリスクが減ることが、様々な研究で示されています。最近では、減塩の調味料や減塩に役立つ商品が増えてきていますので、みなさん、それらをうまく活用して、減塩を始めてみてはいかがでしょうか。
■「食塩はどう減らせばいい?」 管理栄養士 山境 美穂
私たちは日常の食生活で1日あたり平均10.4gの食塩を摂っており、目標値(男性8g、女性7g未満)より摂り過ぎている傾向にあります。今後は、食塩摂取量を減らすことで高血圧の合併症を予防し、健康寿命(介護の必要がなく生活できる期間)を延ばすことが目標となります。今回は、塩分チェックや食塩含有量の多い食品のクイズ、食品成分表の見方などを説明し、食塩摂取量の多い生活習慣になっていないかを確認しました。また、食塩を控えるための具体的な方法(①薄味に慣れる、②漬物・佃煮・加工食品は食べる量・回数で調整する、③買い物の時は表示を見て選ぶなど)について説明しました。
■「あなたの味覚をチェック!」 5階東病棟 看護師 長野 文、高山 みどり
医師や管理栄養士の話から、私たちは、1日あたりの食塩摂取量が多過ぎる傾向があることがわかりました。そこで、実際に塩分の味覚チェックを行い、塩分をはっきり感じているかどうかをチェックしました。
チェック方法は、味のついていない紙を1枚、塩味の濃さの違う紙を4枚舐めてもらい、それぞれの味の感じ方を10個の選択肢(①何も味はしない、②~④甘味の濃さ、⑤~⑦塩味の濃さ、⑧~⑩苦味の濃さ)からそれぞれ選んでもらいました。
味のついていない紙を舐めて、甘味や塩味、苦味を感じたり、塩味の紙を舐めて塩味を薄く感じたり、苦みを感じたりと、塩分の感じ方が鈍くなっている方が多いことがわかりました。この味覚チェックの結果を受け止め、自分の味覚に頼り過ぎないように注意して、減塩に取り組んでいただければと思います。
最後に、第1回地域住民講演会のチームを代表して、腎臓内科の大仲医師が講演会を振り返りました。
第1回地域住民講演会を振り返って 腎臓内科 大仲 正太郎
みなさんに興味を持ってもらえるテーマは何だろうと考えたときに、我々が生活習慣病で最も重視している「減塩」の大切さを知っていただきたいと思い、第1回地域住民講演会のテーマに選びました。
現在、60歳以上の60%、70歳以上の75%の人が高血圧だといわれています。高血圧がどのように体をむしばんでいくのか、減塩は本当に有効なのか、どうすれば上手に減塩できるのか、といったことをご理解いただけたのではないでしょうか。みなさんが大きくうなづいたり驚いたりされているのがとても印象的でした。
今回は、腎臓内科、5階東病棟、管理栄養士でチームを組んで取り組みました。大雨の中、参加していただきありがとうございました!