齋藤貴生前病院事業管理者退任のあいさつ

最終更新日:

平成31331日            

 

齋藤貴生病院事業管理者 退任あいさつ

齋藤貴生元病院事業管理者

                                                                                                                        田川市病院事業管理者・参与          

                                                                                             全国病院事業管理者協議会副会長 齋藤貴生

      

 私は、本年331日をもって田川市病院事業管理者の職を退任します。平成22年度から30年度まで9年間、本職を勤めさせていただきました。託された仕事は、田川市立病院の再生という最も困難な事業でした。

 就任に際してのエピソードを紹介しますと、田川市の伊藤前市長からの要請について大学の上司に相談したところ、「再生を必要とするような病院に人を派遣した例がなく、無謀だ」と反対されました。私は、次の二点を説明しました。

 一点目は、病院の再生は確かに困難なことであるが、当時の自治体病院では一般化していなかった経営手法、即ち経営学の理論、特に戦略経営論の導入が有効であると思われること。その理由は、平成10年から21年にかけて佐賀県立病院好生館の院長、大分県立病院の病院事業管理者として病院の経営管理に従事した際に、独学で習得した経営学の理論導入が、両病院の経営改善に極めて有効であったためです。

 二点目は、自治体病院の経営改革には、首長と病院事業管理者が一体となっての取り組みが不可欠ですが、伊藤前市長は私の自宅にまで来られて要請をされ、その際の具体的な協議を通じて、この方とであれば首長・管理者の一体となっての取り組みが可能であろうと思ったこと。

 上司はこれを聞き、例外として了承してくれました。

 

 病院再生の取り組みは、不良債務の解消、医師の確保に始まり、医療・経営の基本からの改革、質の高い医療と健全経営の実現、病院再生の確実な成就など膨大な領域に及びました。

 多くの取り組みはいずれも重要でしたが、この中で再生成就の鍵となった二つの取組、不良債務の解消と医師の確保について少し紹介します。

 市立病院は、病院新築に伴う過大な負債返還と医師の急激な引き揚げに伴う患者数の減少により、平成2021年度に不良債務を出し経営破綻の状況に陥りました。平成224月に赴任した私は、まず、不良債務の解消に取り組みました。調査の結果、資金不足の原因が、病院新築に対する企業債返還の過大な病院負担、ならびに市本庁からの過小な一般会計繰出し金(2号経費欠如)に起因し、その総額が10年間で約25億円に及ぶことが判明しました。そこで、その補充を求めましたところ、本庁ならびに議会は、平成22年度後半において、厳しい財源の中から、3年間で総計1452百万円の基準外繰出金の拠出を認めてくれました。この結果、不良債務は1年で解消されました。この大英断は、まさに病院再生の重大な第一歩となりました。

 市立病院には、長年にわたり他県の某大学から医師が派遣されてきましたが、平成17年頃から同大学が医師の総引揚げを開始し、常勤医師46名のうち40名が引揚げました。田川地域は、福岡県内で最も医師確保が困難な地域であるため、私は赴任早々から医師の確保に全力で取り組んできました。例えば県内外の大学訪問だけでも、この9年間で延べ334教室、延べ683回に達しました。その結果、常勤医師47名、非常勤医師74名を招聘することができました。これは、一時的に崩壊しかけた診療科を再建させるとともに、病院再生の決定的な原動力につながりました。

 このような取組の集積により、多くの課題が一つずつ解決されていき、その結果として7年後の平成28年度に、田川市立病院は念願の再生を達成することができました。

 申すまでもなく、田川市立病院の再生が成就されたのは、田川地域の住民、医療関係者、議員や市長をはじめとする本庁職員等の多くの皆様の温かなご指導とご支援、そして、何よりも田川市立病院全職員の一体となった粘り強い取り組みによるものです。関係者の皆様に改めて心からお礼申し上げます。

 

 市立病院は再生を達成したことから、今後については、田川地域の医療の向上を目指すことが求められます。そのためには発想の転換が必要です。最も重要なのは、全職員が外に出かけ、田川地域の住民が望む医療のニーズを把握し、ニーズに適った医療を創造して提供する取り組みを病院全体で進めること、即ちホリスティック・マーケティングの導入です。また、田川地域内における地域医療構想、地域包括ケアシステムの構築に公立病院として協力することが望まれます。

 いまや、田川市立病院は、福岡県内でもレベルの高い地域中核病院に成長しています。市立病院がさらに発展することを心から祈念してやみません。

 

 

 

 

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