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病院長あいさつ

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平成29年5月
地域を支える医療
          鴻江病院長                             病院長 鴻江 俊治

 

平成224月以降、田川市民のご理解と田川市の協力のもと、7年間にわたり病院職員が一丸となって病院の再建と改善に努めてきました。平成26年度及び27年度の決算では経常収支が黒字化し、病院運営は軌道に乗ってきました。

これからは田川地域をしっかりと支える医療に務めたいと存じます。特に、これまでの田川を支えた高齢者とこれからの田川を託す子どもを守る医療に力を注ぎます。

 

  1. 1.高齢者を支える

1)地域包括ケアシステム;医療・介護・生活支援の協調

 国は、2025年に向け、医療と介護の一体化を目指した効率的な体制づくりを進めています。第二次大戦後のベビーブームに生まれた団塊の世代の人々がすべて後期高齢者(75歳以上)になるのが2025年です。その時、後期高齢者の割合は全国平均で現在の12%から18%に増えると推定されます。田川医療圏では現在の17%から22%に増える予定です。そうなると高齢者の患者さんを病院と診療所だけで診るのでは、施設も人手も足りません。

高齢者の多くは慢性疾患とずっと付き合わなければなりません。病院に入院している時だけでなく、自宅や施設などの住まいで生活している間も。つまり医療と生活、あるいは医療と社会を切り離して考えることができません。そこで、高齢者が快適に生活する場である住まいを主体に考え、医療と介護と生活支援は協調し、総合的に患者さんをみて(視て、診て、看て)、病気の治療だけでなく、生活を支えなければなりません。これを「包括ケアシステム」と称します。そのために「医療介護総合確保推進法」という新しい法律が平成26年に成立しました。

 この新たな体制作りの中で重要なことは、地域ごとの実情に応じ、計画・実行することです。当院は医療の分野を担当し、かつ、田川市、保健所、田川医師会、そして田川地域の各医療施設及び介護施設と協同し、田川地域住民にとって最適な形の地域包括ケアシステムづくりに貢献したいと考えます。

 

 2)地域医療構想;田川地域に必要な病床に向け再編

 地域包括ケアシステムを進める上で、医療改革の要が地域医療構想です。地域によって異なる医療需要の将来を予測し、必要な機能の病床(入院ベッド)を配置します。具体的には、田川地域を含め大多数の地域で急性期の病床が過剰、回復期の病床が不足すると予測されます。そこで、当院では、平成284月から回復期の病床である「地域包括ケア病棟」を開設しました。急性期治療がほぼ終了した時点で、急性期病棟から地域包括ケア病棟に移り、住まいに帰るまでの準備・リハビリを行っていただきます。これにより、入院から住まいの生活に戻るまでをスムーズな流れとして無理なく移行できると思われます。これから大事なことは病床機能の再編を個々の病院で考えるのでなく、田川地域全体で考えることです。

 平成29年3月、福岡県の地域医療構想が策定されました。田川区域においても2025年を見据えた必要病床数が決められました。

 今後は、地域医療構想調整会議において、これからの田川に必要な病床の機能分化と連携を進めなければなりません。

 

 3)緩和・在宅医療

 平成259月から河村康司副院長を中心に緩和ケア医療を充実させてきました。患者さんの病状とご希望に応じ、外来、入院、そして在宅による緩和ケアを行っています。「最期を自宅の畳の上で迎えたい」というご要望に対応した在宅看取り症例が増加してきました。

 また、地域包括ケアシステムの確立に欠かせない在宅ケアを支える訪問診療及び訪問看護は、年々実績が増加し、充実してきました。

 緩和ケアに従事する医療者を育成するための緩和ケア研修会(厚労省基準に則った)は、本年7月に5回目の研修会を行います。医師及びコメディカルが緩和医療に必要な技術と心を磨きます。

 

 

  1. 2.子どもを支える

二場公人田川市長が掲げる田川再生のための4本の柱のうち3本、「新産業の創出~雇用拡大と若年層の定住~」、「教育改革~将来の田川を支える人材育成~」、「子育て支援~安心して子育てできるまち~」、いずれにも子どもの健康維持が重要な鍵となっています。これら3本の柱を推進していくため、当院は田川の小児医療を守らなければなりません。

当院小児科は夜間の急患診療(平日の午後6時~10時)を九州大学小児科医師の応援を受けながら行っています。また、土曜日の午後6時~10時半、休日の午前9時~午後10時半は、田川急患センター小児科からの入院要請を受けるためオンコール体制が敷かれています。

近年は小児の予防接種の仕組みが複雑になっています。さらに田川地域のワクチン接種率が極めて低いので、九州大学小児科原寿郎教授(当時)の監修のもと、当院小児科と田川地域の小児科の先生方が協力し、ワクチン読本「予防接種で感染症からこどもたちを守ろう」を平成258月に発刊しました。毎年改訂され、平成28年7月に第4版が発行されました。ワクチン接種率の向上につながっています。

当院産婦人科では、安全な出産により母児ともに守るため、4人の産婦人科医が田川地域の大半の出産(約350件/年)を受け持っています。夜間休日を問わず24時間、2人以上の産婦人科医師が待機しています。帝王切開出産の際は小児科医も立ち会い、万全を期しています。

 

 

  1. 3.急患対応

 循環器内科の心臓ホットラインは活躍中です。救急隊あるいは田川地域のクリニックや病院からの狭心症と心筋梗塞の緊急治療要請に応えるため、24時間体制を継続中です。また、時間外オンコール(呼び出し)の腹部救急体制(急性腹痛、急性吐血・下血等)を維持しています。さらに、骨折等の整形外科急患もオンコール体制を続けています。平成27年から、救急隊からの連絡に迅速に対応するため、救急車専用電話回線を設置しました。

 平成28年10月に救急科を開設し、福岡大学病院救命救急センターから専門医(田中潤一部長)が赴任しました。

 当院の救急医療の質の向上のみならず、田川地域の救急医療体制の改善に貢献すると期待されます。

 当院だけで田川の救急を守っていくことは不可能です。田川医療圏の6病院による夜間・休日の輪番制度と田川医師会が運営する急患センターが協力し、救急体制を作ることで、地域完結型の救急医療を守っています。

 当院は輪番制を担う病院として、この体制をしっかり維持することに努めてきました。当番日は当直医以外に別な専門領域の医師が必ず待機しています。当番日の救急車等、急患に対して、当院としてできる限りの救急医療を提供します。その反面、現時点では当番日以外が不十分であることは否めません。今後は当番日以外でも、診療のご要望があればお断りしない体制を目指します。

 救急外来では、来院が後からでも重症の方を優先診療することがありますし、薬の処方は1日分のみであることをご了解ください。また、夜間時間帯の安易な受診(いわゆるコンビニ受診)は避けていただくようお願い申し上げます。

 

 

  1. 4.高レベルの診療

 この7年間の努力により医療の質は格段に向上しています。

 人的資源として医師数は増加し、充実した診療が行えるようになりました。

 新臨床研修制度以降の医師引き揚げにもかかわらず、懸命な医師招聘対策により常勤医は40まで回復しました。

 手術症例は着実に増加し、平成25年以降は毎年2,000例を超えています。特に、1人まで減少していた外科では、外科医確保により食道癌・胃癌・大腸癌・肝癌・膵臓癌など高度の技術を要する悪性腫瘍手術が行えるようになりました。さらに血管外科及び呼吸器外科を開設しました。

 整形外科は高齢者の骨折を中心に、年間600800例と多数の手術を行っています。形成外科は常勤医1人ながら年間400件以上の手術を手掛けています。

 外科、産婦人科、泌尿器科においては鏡視下手術(小さな創、患者さんにやさしい)の症例が急増しています。

 胃内視鏡、大腸内視鏡、胆道内視鏡等の内視鏡検査・治療の症例が着実に増加し、平成28年度は総数2,926件でした。

 心臓ホットラインにより24時間体制の循環器内科は、年間400例前後の心臓カテーテル治療を行っています。

 

 平成29年2月からHCU(ハイケアユニット)を2階病棟に開設し、緊急入院や手術後の重症患者さんなどに高度で濃厚な診療が行える体制が整いました。

 平成29年4月から眼科に8年ぶりの常勤医が赴任し、これまでの外来に加え、入院や手術に対応できるようになりました。

 

 

 

  1. 5.災害対策;DMAT

 「天災は忘れたころにやってくる」寺田寅彦博士の有名な言葉です。来て欲しくない災害ですが、「備えあれば憂いなし」日頃からの準備が必要です。

 県指定災害拠点病院として当院のDMAT(災害派遣医療チーム)は日々、いざという時に備え、訓練・研修を重ねています。

 平成28年4月の熊本地震では、発生直後に国の要請を受けた九州地区DMATが熊本に出動し、当院DMATは震源地付近にて倒壊の恐れのあった病院から全患者さんの深夜の緊急移送、さらにその患者さんの移送先での診療を担当し、その任を果たしました。

 

 

6.田川の皆様とともに

■ホスピタルストリートを美しく

    1.  来院された患者さんに少しでも気持ちよく過ごしていただきたく、ボランティアのご協力により1階外来のホスピタルストリートに美しい田川の風景写真が飾っています。

    2.  

    3. ■4階、5階、6階の病棟に小さな図書室「くつろぎ文庫」があり、ボランティア運営でまかなっています。入院患者さんの癒しになる図書の寄附を募集しています。医事課(内線5003)までお問い合わせください。

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    5. ■出前講座

       地域住民の皆さんに健康と病気に関する正しい知識を持ってもらうため、当院の各専門領域のスタッフが出向いてお話をする「出前講座」は、平成25年に始まり、毎年1214ヶ所の公民館をお訪ねしています。ご好評につき、今年度も9月以降、講演内容を一新し、開催されます。どうぞ、ご参集ください。

    6.  

    7. ■平成28年は院内ロビーにて3回のコンサートを開催しました(詳しくはこちらをご覧ください)。ボランティアとして演奏してくださった方々に感謝申し上げます。今年度も患者さんの心の安らぎ、元気が出る演奏を募集しています。医事課(内線5003)までお問い合わせください。

    8.  

    9. ■セカンドオピニオン

       無料のセカンドオピニオンを行っています。現在受けている診療に疑問をお持ちの方、遠慮なくお申し込みください(詳しくはこちらをご覧ください)。



 

 

 


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